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2016年2月号

Mascotは実験サンプル中に存在するタンパク質を同定するために使われていますが、リコンビナントタンパク質のキャラクタリゼーションにも利用されています。

Mascotを利用した研究論文を紹介しています。取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、 Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

今月の小技では、コマンドラインを使ったMascot検索について説明しています。質量データファイルが大きすぎて、Webサーバ経由ではMascotへの検索投入ができない場合などに有効です。

Mascotニューズレターのバックナンバーは このページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。

 

今月のトピックス

タンパク質の品質保証
Mascot を利用した論文の紹介
今月の小技
 

Mascot検索を利用したタンパク質の品質保証

リコンビナントタンパク質の品質を保証するのはたいへん難しく、多くの分析手法を駆使して、一次配列、修飾、架橋、不純物の混入などを調べる必要があります。Mascotは実験サンプル中に含まれるタンパク質を同定するためにデザインされていますが、品質保証環境(QA environment)でも利用されています(と言っても、当局の承認は得られていませんので、あくまでも研究レベルでの利用です)。

検索対象とすべき配列データベースですが、目的のタンパク質のみ(1エントリ配列データベース)あるいはそのタンパク質のバリアントで構成した場合は、エントリーの数が少な過ぎるために統計的な有意性を判定する閾値スコアは使えませんので、低いスコアでマッチしたときには、それが正しいのか、それとも単にペプチドの質量にマッチしただけなのかを判断することができません。従いまして、配列データベースはコンタミに関わるタンパク質と宿主細胞のプロテームで構成するのがよいと思います。もちろんこの場合もエントリ数はそれほど多くはないと思いますので、Decoyデータベースを利用したFDRの評価はできませんが、マッチングの信頼性は格段に高くなります。

なお、通常のMascot検索では検出しづらいペプチド(前処理プロセスでの酸化あるいはアルキル化、非特異的な切断、翻訳後修飾、SNPなど)についてはError tolerant検索が有効です。お試しください。QAタイプの検索に関する ブログ もご覧ください。

immunoglobulin

Mascotを利用した論文の紹介

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

Top-down and Middle-down Protein Analysis Reveals that Intact and Clipped Human Histones Differ in Post-translational Modification Patterns

Andrey Tvardovskiy, Krzysztof Wrzesinski, Simone Sidoli, Stephen J. Fey, Adelina Rogowska-Wrzesinska and Ole N. Jensen

Molecular & Cellular Proteomics (2015), 14, 3142-3153

Post translational modifications of histones play a major role in regulating chromatin functionality and the concomitant DNA processes. It is thought that not only "classical" histone PTMs, such as methylation, acetylation, and phosphorylation effect the function, but also the proteolytic cleavage of the N-termini known as "histone clipping".

This paper takes on the challenging characterization of the co-existing histone modifications and reveals the relationship between histone clipping and covalent histone PTMs. Using immunoblotting as well as top- and middle-down mass spectrometry methods, the authors showed the presence of clipped histones and the co-existence of various PTMs for H3 histones.

They found that histones H2B and H3 undergo proteolytic processing in primary human hepatocytes and the hepatocellular carcinoma cell line HepG2/C3A. They mapped 212 unique combinatorial PTMs on intact H3 N-terminal tails and 55 combinatorial PTMs on two different clipped H3 N-terminal tails.

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今月の小技

Windows版のMascotではWebサーバとしてIISを使っていますので、Mascot検索に投入できるピークリストファイルの最大サイズは4GBに制限されます。WebサーバとしてApacheを使えばこの制限はなくなり、Mascot DaemonからMascotに検索投入することができますが、検索が長時間にわたる場合には依然としてMascotとWebサーバ間の通信タイムアウトの問題が残ります。ピークリストファイルのサイズが4GBを越えるような場合は、Webサーバを経由せずに、コマンドラインからMascotに直接検索投入してください。

  1. Mascotの設定ファイルである「mascot.dat」のオプション項にある「SaveEveryLastQueryAsc」の値を「1」に設定してください。
  2. 無効なピークリストファイル、たとえば右上図のような「ダミーな質量データ」を内容として持つ「dummy.txt」ファイルを使って、ブラウザから実際の検索条件を指定してMascot検索を実行してください。
  3. 当然ながらMascot検索は失敗し、エラーとなりますが、日付データフォルダ(たとえば2016/2/17に検索を実行すれば、Windowsの場合は「C:¥inetpub¥mascot¥data¥20160217」)に拡張子「inp」を持ったファイル、たとえば「F001234.dat.inp」が作成されます。
  4. この「*.inp」ファイルをテキストエディタで開いてください。
  5. 「ダミーな質量データ」行よりも上にある行をコピーし、たとえば「head.txt」ファイルを作成してください。
  6. 「ダミーな質量データ」行よりも下にある行をコピーし、たとえば「foot.txt」ファイルを作成してください。
  7. Windowsの場合は「copy」コマンドを使って、head.txtファイル、foot.txtファイル、実際に検索したいMGFファイル(big.mgf)を連結してください。
    copy head.txt+big.mgf+foot.txt input.txt
     
    Linuxの場合は「cat」コマンドを使って連結してください。
    cat head.txt big.mgf foot.txt > input.txt
     
  8. 「input.txt」ファイルをコマンドラインで実行してください。
    cd C:\inetpub\mascot\cgi
    nph-mascot.exe 1 < input.txt
     
    Linuxの場合は次のようになります。
    cd /usr/local/mascot/cgi
    ./nph-mascot.exe 1 < input.txt
     
command line command line
 

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