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「今月のブログ」では、Mascotのバックアップとリカバリーについてご説明します。

「今月の論文」では、シングルセル(single cells)プロテオミクスに適用できるインラインサンプル処理システムに関する研究論文を取り上げました。

「今月の小技」では、Y2K問題に起因するスペクトルライブラリ作成ツールの不具合ついてご説明します。

Mascotニューズレターの バックナンバーはこのページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

今月のトピックス

バックアップとリカバリー
インラインサンプル処理
Y2K問題の再来
 

Mascotのバックアップとリカバリー

最近日本でも有名になってきたクラウドストレージサービス会社「Backblaze」は自社で使用しているHDD(ハードディスクドライブ)の故障台数を公開しています。先日リリースされた 2019年版 を見ると、4TBのHDDでは1.5%程度(34,908台のうち476台)、HDD全体では1.7%程度(122,507台のうち2,068台)が故障しています。弊社がMascot用に販売しているDELLワークステーションに関しては、年間数件の故障連絡があり、主にHDDコントローラボード、HDD、マザーボードを交換修理していますので、Backblaze社のHDD同様にPCも数パーセントの割合で故障するということになります。

数パーセントの割合でPCは予期せずに故障しますので、研究活動におけるデータ処理システムの重要度に応じた安全策を講じる必要がありますが、少なくとも質量データファイルやMascotの検索結果ファイルのような、作成にコストがかかっているデータファイルは常にバックアップするのがよろしいかと思います。弊社が出荷するPCは2台のHDDを搭載し、Mascot関連ファイルを毎日自動的にバックアップするように構成されていますが、さらに別のドライブにバックアップするとより安全性が高まります。

最悪の事態が発生して、Mascot Serverや関連するクライアントシステム(Mascot DaemonやMascot Distillerなど)がダウンした場合は、まずはHDDのバックのアップを作成するなどしてすべてのファイルの安全を確保し、Mascot Sever → クライアントシステムの順に復旧・復元してください。

詳しい内容を ブログ にまとめましたのでご覧ください。

なお、最近はクラウドストレージサービスに自動バックアップする機能を備えたNAS(ネットワークアタッチドストレージ)の値段も安くなってきました。既存のシステムと組み合わせて、より安くて安全で安心な「3安バックアップアップシステム」の構築を検討してみてはいががでしょうか。

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シングルセルプロテオミクス向けインラインサンプル処理システム

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

In-Line Sample Processing System with an Immobilized Trypsin-Packed Fused-Silica Capillary Tube for the Proteomic Analysis of a Small Number of Mammalian Cell

Kosuke Hata, Yoshihiro Izumi, Takeshi Hara, Masaki Matsumoto, and Takeshi Bamba

Analytical Chemistry 92 2997-3005 (2020)

シングルセルに対するプロテオーム解析技術は、たとえば希少がん治療法の研究開発を進める上でマスマス重要になると思いますが、この研究論文では、ショットガンプロテオミクスに適用可能で、従来の方法に比べてより少ないサンプル量とサンプルロスを実現するインラインサンプル処理システム(ISPEC:in-line sample preparation for efficient cellular proteomics)を開発し、HeLa細胞1000個を使って従来法との比較実験で性能の優位性を確認した上で、HeLa細胞100個、10個、1個に適用した結果、それぞれ1351個、351個、60個のタンパク質を同定したと報告しています。

ISPECの特徴はカラムの構造・構成とそれらをインライン化して一括処理するところだと思いますが、カラムのさらなる微小化を進めて感度を高め、MRMターゲットプロテオミクスの手法と組み合わせることにより、現状では難しい不均一性の問題を議論できるようになるだろうと報告しています。

個人的にはトリプシン固定ビーズ等の流出を防ぐためのKasilフリットの出来(はんだ付けのような細かい作業だと思います)がどのように影響するのか興味を持ちました。

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スペクトルライブラリ作成におけるY2K問題の再来

Mascot Serverには簡単な操作で検索結果ファイルからスペクトルライブラリを作成するためのツールが実装されています。処理対象としたい検索結果ファイルは日付範囲(開始日と終了日)で指定しますが、デフォルトでは「1970/1/1 〜 本日」になっています。

2019年までは問題はなかったのですが、2020年になってデフォルトの日付範囲では動作しなくなりまして(スペクトル抽出数がゼロ)、調べてみると、Unixエポックタイムスタンプを日付に変換するPOSIX関数の戻り値をPerlの関数で処理しているのですが、2020年になって処理結果が1970ではなく2070になっており、これはY2K問題から派生している不具合であることが判明しました。

この不具合は次のリリースで修正します。

なお、開始日を「1971/1/1」以降の日付を指定することでこの問題を回避することができます。

Mascot tip

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