今月のお知らせ1は、2026 ASMS における3つのポスター発表内容についてです。
今月の論文は、間葉系幹細胞の細胞外小胞産生を最適化したプロセスに関する研究です。
今月のお知らせ2は、BSPR 2026およびIMSC 2026についてです。
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6月アメリカカリフォルニア州サンディエゴで開催されたASMS 2026にて、多くの方とお会いすることができました。Mascot DIAを特集した3つのポスターを発表し、ペプチド同定および定量戦略のさまざまな側面をご紹介いたしました。
弊社では、MascotにおけるDIAデータ対応の最終調整に尽力してまいりました。ASMS 2026では実際のデータを用いたMascot DIAに関する3つのポスター発表を行います。
WP449: Mascot DIA introduces probabilistic scoring to spectrum-centric analysis of DIA data.
Mascot DIA : DIAデータのスペクトル中心解析 - 確率論的スコアリングを導入
データ非依存型取得(DIA)用のソフトウェアパッケージの多くはペプチド中心方式のアルゴリズムです。それらは正確なフラグメント強度予測に基づくスペクトルライブラリに依存しており、装置(フラグメンテーションパターン)、酵素、および可変修飾の選択肢が制限されます。Mascot DIA は複雑なDIA MS/MSスペクトルからペプチドを同定するための新しい確率的スコアリングモデルを搭載しています。このモデルは機械学習に依存せず、ペプチド中心方式のアプローチが抱える制限を克服しています。
WP464: Mascot DIA enables direct comparison of DDA and DIA identification and quantitation results.
Mascot DIAによるDDAとDIAの同定・定量結果の直接比較
MASCOTにおいて、同一の装置でDDAモードおよびDIAモードにて取得されたPRIDEプロジェクトPXD028735のデータを再解析し結果を比較しました。MascotではDIAスペクトルのデコンボリューションを必要としません。MASCOTで解析することで、DDAスペクトルとDIAスペクトル両方に対して同一の配列マッチングおよびプリカーサー定量アルゴリズムが使用されるため、結果を直接比較することができます。
WP622: Overcoming Peptide-Centric DIA Limitations: Discovering Unsuspected Modifications in Narrow-Window DIA Using Mascot Error Tolerant Search.
ペプチド中心DIA解析の限界を克服する ― Mascot Error Tolerant Searchを用いた狭ウィンドウDIAにおける未知修飾の発見
Mascot Error Tolerant検索(二段階検索)では、標準的な第1段階の検索でタンパク質を同定した後、第2段階ではUnimodの修飾リスト全体と配列バリアントを網羅的に反復検索します。DIAモードで取得されたPRIDEプロジェクトPXD037506のデータを再解析し、予想外の非特異的切断、配列バリアント、糖鎖修飾、およびリン酸化の可能性がある個所を発見しました。
これらのポスターのPDFは、こちらからダウンロード可能です。
Riddhesh B. Doshi, Bethany Yee, Nicolas Warburton, Juanfang Ruan, Richard Tilley, Kuldip Sidhu, Kristopher A. Kilian
Cellular and Molecular Bioengineering, 2026, doi:10.1007/s12195-026-00917-x
間葉系幹細胞(MSCs)によって産生される細胞外小胞(EV)は、再生医療において有望な選択肢となる可能性があります。著者らは、ハイドロゲルマイクロキャリアを利用することで、単層培養と比較してEV産生量を最大18倍まで増加させることができる、最適化されたEV産生プロセスを実証しました。ハイドロゲルの力学的特性と微細構造は、せん断技術を用いて精密に調整・評価されています。EVは、レオロジー解析、イメージング技術、プロテオミクス、および機能アッセイを用いて解析されました。
2種類のMSC(脂肪由来幹細胞(Adipose Derived Stem Cells ,ADSC)と誘導多能性幹細胞由来MSCs(induced pluripotent stem cell derived MSCs,iMSC)を、組織培養用プラスチック(Tissue Culture Plastic ,TCP)およびゼラチンメタクリロイル(Gelatin MethAcryloyl ,GelMA)ハイドロゲル上で培養しました。プロテオミクス解析では、EVを単離し、LC-MS/MSを用いたセクレトームプロファイリングを行いました。rawデータをMascot Distillerで処理し、Mascot Serverによるデータベース検索を通じてタンパク質が同定されました。
著者らは、すべての条件に共通する合計117種類のタンパク質を同定しました。TCP由来のADSC-EVには18種類、マイクロキャリア由来のADSC-EVには22種類の固有タンパク質が認められた一方、同様の条件下のiMSC-EVからはそれぞれ26種類および25種類の固有タンパク質が検出されました。生物学的パスウェイ解析によると、GelMAマイクロキャリア(MicroCarriers ,MC)由来のEVは、創傷治癒に不可欠な補体活性化およびコラーゲンフィブリルの組織化に主に関与していることが示されました。
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