2023年4月号

来たる6月にテキサス州ヒューストンで開催されるASMS Conferenceにて皆様とお会いできるのを楽しみにしております。Breakfast meeting を開催いたします。また展示ブースは#726ですので是非お立ち寄りください。

今月の論文は、リン酸化ペプチドの分析における微量金属イオンの悪影響とその対策です。

今月のブログは、25周年を迎えるマトリックスサイエンス社とその製品についてです。奇しくも先月のニューズレターは通算100号で本号(英語版)は101号となります。

Mascotニューズレターのバックナンバーはこのページ(英語版日本語版)からご覧いただけます。ご一読の上、ご意見・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

ASMSでの活動内容

テキサス州ヒューストンで開催されるASMS にて、6月5日(月)7:00~8:00にユーザーミーティングを開催いたします。講演内容は以下の通りです。

  • Special guest presentation – Professor Susan Weintraub, University of Texas Health Science Center at San Antonio
  • Single cell proteomics with Mascot – Patrick Emery, Matrix Science
  • 25 years of Matrix Science – Ville Koskinen, Matrix Science

朝食が提供されます。参加は無料ですが事前登録が必要です。弊社ウェブサイトからご登録ください。

リン酸化プロテオミクスのための、移動相からの金属イオン除去によるnanoLC/MS/MSシステムのバイオイナート化 

Bioinertization of nanoLC/MS/MS systems by depleting metal ions from the mobile phases for phosphoproteomics

Yumi Komori, Tomoya Niinae, Koshi Imami, Jun Yanagibayashi, Kenichi Yasunaga, Shinya Imamura, Masami Tomita, Yasushi Ishihama

Molecular & Cellular Proteomics, in press, 2023

著者らは、金属イオンが存在する場合に生じるピーク形状の歪みやシグナル強度の低下を最小限に抑え、リン酸化ペプチドの分析を改善する方法を開発しました。さらにこの方法では添加剤が引き起こすイオン化抑制や不要な沈殿といった問題を回避することもできます。

約3,600種類の多様なリン酸化ペプチドをモデル基質として使用し、微量サンプル中のリン酸化タンパク質の定量解析に対する金属イオンの影響を調査しました。まずHeLa細胞抽出物/消化物から、酸化チタン粒子を含むヒドロキシ酸修飾酸化金属クロマトグラフィーを用いてリン酸化ペプチドを濃縮しました。 このサンプルをステンレス、チタン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)といった一般的なクロマトグラフィーの使用材料に吸着させる実験を行ったところ、複数リン酸化箇所を含むペプチドの回収率はステンレスとチタンで元の回収率の4.3分の1,5.4分の1に減少しましたが、PEEKからの回収率は100%近い値となりました。また、ポンプとミキサーを通過した溶媒で試料を溶解すると金属イオンによるサンプルイオン化の抑制が顕著に見られた一方、ポンプ通過前の溶媒ではそのような影響は見られませんでした。

著者らはオフライン環境でキレート樹脂カラムの効果について検討したところ、金属イオンの除去に有効であることを確認しました。 そこで、エムポア・イミノ二酢酸・固定化膜ディスクをPEEKユニオンに挿入し、ナノLCポンプとインジェクターの間に配置することで作成したキレート樹脂カラムを用いたオンライン金属除去システムを開発しました。 オンライン装置の下流には金属を含まないPEEKと融解シリカのキャピラリーを使用しています。オンライン金属イオン除去装置の導入により、リン酸化ペプチドのピーク面積は平均9.9倍、複数リン酸化箇所を含むペプチドに至っては平均77倍も増加しました。

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

創立25年を迎えたマトリックスサイエンス

David Creasy and John Cottrell in front of the London Eye

マトリックスサイエンスは25周年を迎えました。1998年にJohnCottrellとDavid Creasyが会社を設立して以来様々な技術的発展があり、今日のプロテオミクスは設立当時の科学の最先端の内容とは全く異なっています。

マトリックスサイエンス社は、Darryl Pappin と David Perkins (Imperial Cancer Research Fund, UK) が開発した MOWSE III(Molecular Weight Search) アルゴリズムのライセンスを受けたことから始まりました。Mascot 検索エンジンは毎年 2000 以上の論文に引用され、何千人もの人にご利用頂いており、これまで行われたMascotの検索結果は何百万、何千万と存在しています。

弊社のここまでの活動は、長きにわたりご利用頂いているお客様なしでは存在し得えませんでした。過去四半世紀に渡るご愛顧、バグの報告、新機能アイデアのご提案、フィードバック、カスタマイズを含む利用に心より感謝いたします。

私たちの歴史や技術・製品の進化についてまとめたブログ記事(英語版日本語版)をご覧ください。

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