2026年2月号 (#135)

今月のブログは、ディスク容量不足がもたらすソフトウェアの障害についてです。

今月の論文は、ヒト指先再生とプロテオミクスに関する研究です。

今月の小技は、Mascot検索ログの列幅のカスタマイズについてです。

Mascotニューズレターのバックナンバーはこのページ(英語版日本語版)からご覧いただけます。ご一読の上、ご意見・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

ディスク残り容量不足がもたらすMASCOTのトラブル

安定して動作していたソフトウェアが突然動作しなくなることがあります。そのような時に最もあり得る原因がディスク容量の不足であり、奇妙な不具合を様々な形で引き起こします。プロテオミクスデータ処理中に生じる入力データや一時ファイルはサイズが大きいため、他のジャンルのソフトウェアよりもこの手の問題が発生しやすいようです。

ディスク容量問題の診断と解決に関するヒントやアドバイスについての詳細は、こちらのブログ記事(英語版日本語版)をご覧ください。Mascot Serverにおいて、ディスク容量を消費するTop3とそのファイルの場所は、配列データベース(「sequence」ディレクトリ)、検索結果ファイル(「data」ディレクトリ)、レポート生成時に閲覧速度上昇を目的として作成されるキャッシュファイル(「data/cache」ディレクトリ)です。キャッシュファイルについては、古い検索結果を圧縮し未使用のキャッシュファイルを削除するツール「tidy_data.pl」も利用可能です。

Mascot Distillerでディスク容量を多く消費するのはrawデータファイル、プロジェクトファイル(.rov)、通常動作中に作成される一時ファイルです。保存した過去の.rovファイルでディスクが満杯の場合、それらを別のディスクに移動しても問題ありませんが、プロジェクトファイルがrawデータへのリンクを含むため、必ずrawデータファイルも一緒に同じディスクに移動してください。Distillerには未使用のキャッシュファイルを削除するメニュー項目も含まれています。

ヒト指尖再生は、臨床的段階に従いそれぞれ異なるプロテオミクス的特徴を示す

Human fingertip regeneration follows clinical phases with distinct proteomic signatures

Jurek Schultz, Purva A. Patel, Rita Aires, Leah Wissing, Patrick Glatte, Michael Seifert, Marc Gentzel, Guido Fitze, Adele M. Doyle, Tatiana Sandoval-Guzmán

npj Regenerative Medicine volume 10,Article number: 51 (2025), doi:10.1038/s41536-025-00441-y

ヒトの指先は遠位損傷(distal injuries)後ほぼ完全に再生可能ですが、分子レベルでの再生過程や再生動物モデルとの関連性についてはほとんど解明されていません。著者らは新規シリコーン製フィンガーキャップを指先損傷治療に用いたランダム化比較臨床試験を実施しました。4つの異なる臨床段階において、フィンガーキャップから創傷液を多く採取しました。著者らは各段階で特徴的なプロテオミクスシグネチャー、プロセス、活性調節ネットワークを同定するとともに、動物モデルとの有意な相違がある事を示しました。

液体サンプルはGelC-MS/MS法で分析しました。すなわち、SDS-PAGEによる分離、ゲル内トリプシン消化、続いてDDAモードでのLC-MS/MS(Thermo Q-Exactive HF)といった解析です。Mascot Serverによるペプチド・タンパク質同定後、Scaffoldで結果を統合しています。信頼度の低いタンパク質を除外するため3つ以上のサンプルで検出されたタンパク質のみを解析対象としたところ、36サンプルで974のタンパク質またはタンパク質クラスターが同定されました。スペクトルカウントによるタンパク質定量後、主成分分析(PCA)、クラスタリング、経路およびネットワーク解析を実施しました。

検索ログの列表示内容をカスタマイズ

Illustration for Mascot

Mascot検索ログは、データベース検索に関する有用なメタデータ(ジョブ番号、PID、データベース、ユーザー名、メールアドレス、タイトル、中間ファイル、開始時刻、所要時間、ステータス、優先度、タイプ、酵素、IPアドレス、ユーザーID、ピークリストデータファイル)を記録したテキストファイルです。Mascotのホーム画面からリンクを辿って閲覧する事ができます。あまり知られていませんが、列表示の内容は設定オプションで構成を調整する事ができます。

列幅と表示状態の設定について詳しく説明します。Mascot configuration editorで「Configuration Options」を選択して設定画面を開いてください。「幅」は「ReviewColWidths」 項目で設定します。デフォルト値では、「7,8,8,27,30,120,32,25,6,13,4,4,6,16,7,150」となっています。数字は文字数を意味します。例えば3列目の表示項目「dbase」は、データベース名の先頭8文字を表示します。 「表示状態」は 「ReviewColDisplay」 項目で設定され、デフォルト値は「1,1,1,1,1,0,0,1,1,1,1,1,1,0,1,1」となっています。1は項目が指定文字数すべて表示している事を示し、0 は列が折りたたまれ2文字分しか表示されていない事を意味します。ただし、設定がどのような内容であっても検索結果ログ内の列の表示順は固定されています。

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